日本の実写映画が面白くない潜在的な理由

日本の映画が面白くないのには、潜在的な理由があります。それは風景が良く分からないという問題です。

日本は撮影が出来ない場所が多すぎます。例えば、渋谷は基本的に映画の撮影ができません。申請したとしても、まず許可が下りないそうです。理由は映って良いもの悪いものの区別を付けられないからです。

時折、レインボーブリッジや法務省などの撮影許可が下りたりすると、それが話題になったりします。しかし完全閉鎖をする必要があるなど、いつもの風景ではなく、安全に守られた風景を撮影することになります。

インディーズ映画でしたら、取り締まられることを覚悟でゲリラ的に撮影を行うことはできるでしょうが、メジャーな映画では不可能です。一般人を巻き込んだ時点でちょっとした事件になります。

人間生活のとある一面において、映画に映って悪いものというのがあるという世の中はどんだけ刹那的で、未来に対して都合の悪い生活をしてるんだと思ったりしてしまいます。

日本人は映画を文化的な産業、文化的な財産だと位置づけていないから、そもそも作り手以外、誰も身近な場所が映画の舞台になるということを望んでいないというのが現実でしょう。

日本の都市の景観が広告だらけというのも、風景の価値を貶めていると同時に、これが日本人の感性だというしかないのです。

かわって日本ではアニメの人気が高く、アニメの舞台になった場所に聖地巡礼などをするほどのファンができたりするのは、アニメなら撮影許可などの縛りなく風景を描くことができるからだといえます。

これは観客が見たいものを見れているということだと思いますし、アニメの方が風景の歴史が残り、文化的な価値があるのかもしれません。

 

日本映画史110年 (集英社新書)

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