原典にこそ学ぶ価値がある。

書店に行けば、常に新しいビジネス書や自己啓発書が発売されています。人生論、働き方、お金に関することなど、新刊の平台を眺めれば、今の自分の悩みに当てはまる書籍が必ず見つかると思っていいでしょう。

しかしこれら新刊について、「新規性」という視点で考えてみると、かなり怪しいものがあります。本の最後のほうのページに書かれる引用元を見てみると、元をたどれば古典的な文献にいきつくことが多いのです。

かつての私は、新しい本ほど作者の経験により昇華されているから古典的な文献より精度の高い内容になっているはずだ、という見方をしていました。もっといえば、分厚い難しそうな文献を読まなくても、分かりやすいし実践的だとさえ思っていました。

しかしこの「実践的」というのが曲者でした。他人が実践したことを再現したり考え方を真似するということが結構難しい。環境の違いや場面の違い以上に、平常時に効果を発揮しにくいのです。

「こういう場面があれば、あの本のようにできるはず(できたのに)」と思ったことはないでしょうか?私はよく思っていました。環境が悪いと思っていたのです。しかしこれは間違いだと気づきました。

本を書いた人は、普段から当たり前の行動となっているので本人には再現性がある。そして他人がやっても再現できると思っている。また書くことができる理由は、本質を理解しているからです。しかし本質そのものを書いたのでは他人に響きにくい。当然本は売れてほしいので、実践的で分かりやすいものを書くことが求められてしまう。

多くのビジネス書や自己啓発書を読んできた私が得た教訓は、「他人の体験を通じてでは、決して本質にたどり着くことができない」ということです。

新刊を手に取るのが悪いということではなくて、あくまで新刊はとっかかりなのだと思います。作者が何を参考にすることで成功したかを知ることは効率化につながります。

本質に迫る本を読むと、自分の行動につながります。自分で考えるのは面倒で大変ですが、これをショートカットすることはできないのです。その上、原典に近いほど分厚い本も多いので読むのが大変だと思います。それでも、ライトなビジネス書を何冊も読み続けるよりも、何十倍もの価値があると私は実感しています。


最後になりますが、本年の11月から始めたこのブログを読んでくださった皆様、本当にありがとうございました!これで今年の更新を終えたいと思います。

皆様がよいお年をお迎え下さいますようお祈りいたします。